会社を辞めてカナダ留学

30歳目前でバンクーバーに留学した、渡辺真由子の日々。途中でハワイにも留学☆ 初出:『現役ジャーナリストが語るカナダ大学留学レポート』(スペースアルク、2005~2006)

「私がカナダを選んだ理由〜そのイメージと現実」


バンクーバー五輪記念コイン


留学先にカナダもいいかなと思っているあなた。何となく、イメージだけで選んではいないだろうか。自らの経験に基づき声を大にして言いたいが、イメージなど往々にして外れるものである。留学国選びに必要なのは正確な情報、そして自分なりの「基準」だ。この連載初回はご参考までに、留学先としてカナダを選んだ際の私の基準(イメージにまみれた)と、実際に暮らして初めてわかった現実についてお話しよう。

大和撫子として優先したのは「治安」である。英語圏で安全なイメージの国といえばオーストラリアとカナダだろう。オーストラリアは学生時代に留学経験があるため(確かにそこそこ安全だったが)同じ国に2度暮らすよりは他の国を知りたいと、ガイドブックで治安の良さが強調されるカナダを選んだ。さて、実際のカナダの治安はというと・・。確かに凶悪犯罪は日本よりも少ないようである。だが日本の都会が不夜城なのに比べ、バンクーバーは夜遅くなると街の灯りも歩行者の数も一気に減り、一人歩きは危ない。ドラッグは蔓延しているし、夕方6時の電車内で泥酔した浮浪者が私の膝元に倒れ込んできたこともある。日本で紹介される「あんぜ〜ん」なイメージとは少々差があると言えよう。

「物価」も大事なポイント。カナダは自然が多いから安いんだろうなと(根拠になっていないが)思っていた。ところがである。私が安さを測る物差しは、ランチが日本円にして500円以内で食べられるかどうかなのだが、そしてオーストラリアではライスとおかずのワンディッシュがしっかり400円台に収まっていたのだが、カナダは違った。ワンディッシュ500〜600円、バーガーとポテトのセットも600円位はする。日用品も日本と同じか、ヘタするともっと高いのだ。買い物のたびにどうもナットクがいかない。

そして「気候」である。金沢育ちなのに寒さが苦手な私にとって、カナダで住むなら温暖といわれるバンクーバーしかあり得なかった。だが、再びところがである。今年1月の到着早々大雪に見舞われたのだ。吹雪を顔面に受け、凍った路面をスベらないよう必死に踏みしめ歩きながら「話がちがうんじゃないの!」と心の中で何度叫んだか知れない。

最後に「授業内容」。実はこれが最も重要視した点だ。カナダはメディア教育が世界最先端とされるため、メディア・リテラシーに関心があった私は授業内容を調べた時点でカナダに決定したのだった。カナダの授業については今後詳しくご紹介していこう。

さて、あなたが留学先の国を選ぶ基準は何だろうか。結局、自分にとって最も譲れない点さえ満たされていれば、後は少々イメージと異なってもまあ見過ごせるものである。私も何だかんだ言ってカナダが気に入っているのだから。